「わかった。 わかったから、離れて」 「そんなに嫌がらなくてもいいんじゃないの?」 言いながら、怜士はあっさりと身を引いた。 解放感に深々と息を吸いなおす。 「この香水、こだわってないから、あなたが嫌いなら変えるけど」 「ええと。 別に嫌いな香りじゃない」 怜士自身の香水だったのか。 うっかり鎌をかけたら、とんでもない目にあった。 キスしたことは意図的に忘れる。 「あ」 珍しく、怜士が短く声を上げた。 今度はなんだろうと、視線を向けると、にやっと笑う。