隣に座ると、ふっと香りが鼻をかすめた。 高等部の時の、白檀の移り香とは違う。 男性用の香水のような気もするけど、もしかしたら。 今の女の香水。 「なに?」 じろっと見てしまったら気が付いたらしい。 「香水、移ってるよ」 ちょっと意地悪な気持ちになって鎌をかけてみる。 少し首を傾げ、じっと麗華の横顔をみつめていたが、合点がいくと表情を緩めた。 「おかしいな。 これからのはずなんだけど」 なんのことだと思った瞬間だった。