「わー、もう知らない」
麗華は髪の毛をかきむしると、予定通りに外出の用意を始めた。
それで免れたと思ったのだが、甘かった。
考えてみれば、彼に知れないことはないのだ。
6時になるとスマホが震え、外にいると簡単に告げられて切れた。
母親のお遣いで来ていた呉服屋のビルを出ると、道路に車が止まっていた。
麗華の姿を認めると、待っていた運転手がドアを開けたのに、中をのぞく。
「お疲れ」
Ipadの画面から顔を向けて、怜士は画面をオフにした。
文書のように見えたから、仕事をしていたのではないかと思う。
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