「あれ、どうした?」
「は?」
「昔、あげた靴のチョコ」


同じことを思い出していたらしい。


「食べたよ」
「ああ、そう」


ガラスの靴は無くなってしまった。


無いのだ。


だけど。


「生きていて、良かった」


思わず、ぽつりと呟いた。


怜士の足が止まる。


衝動的に麗華の腰を引き寄せ、くちびるを合わせようとした。


麗華は反対に一歩身を引いた。


シンデレラのワルツは、ウッドブロックが魔法が解けるカウントダウンを告げ始めていた。


ぴたりと視線を合わせる。