「変わった生徒なんでしょうね。先生、ありがとうございました。」


「おー、鍵はちゃんと返しておけよ。」


「もちろんです。失礼しました。」


“目上の人には礼儀正しく”産まれてからずっと親に言われ続けた言葉。


私はずっと守り続けている。
損はないしね。


そんなことより、今は私より先に音楽室の鍵を借りたという生徒が気になる。


音楽室に近づくにつれ音がしてくる。

その音はどんどん大ききなっていく。

近くまできたところで、私は気がついた。

その生徒が奏でる音色がとても心地よいことに。