今日もいつものように職員室に鍵を借りに行く。

「失礼します。2年の小桜です。音楽室の鍵を借りに来ました。」


私は礼儀正しく用件を告げる。


いつもなら、そのまま鍵をとり職員室を出る。しかし、先生の口から耳を疑う言葉が発せられた。


「おー、小桜。音楽室の鍵なら、別の生徒が持っていったぞ?」

私は思わず「えっ?」と音を発していた。


「だよなー。俺もびっくりしたよ。音楽室にいきたがる生徒が小桜以外にいたなんてな。」


その通りだ。

音楽室にいきたがる生徒なんて私以外にいないはず。

音楽室は誰も立ち入らない場所なのだから。

その生徒はいったい何者なのだろうか。

私はその生徒が妙に気になった。