果たして少女は見つかった。

犯人は30代後半の無職の男で、警察に取り押さえられ、逮捕された。

テレビの取材等で慶介は報道陣から取材を受けたが、適当に促した。

メガネの事に振られたくなかったし、メガネは願いが叶うと、

レンズにヒビが入り、全く使えなくなってしまった。


事件が落ち着いて一週間後、母親とその少女が自宅へ来た。

「慶介さん。この度娘を助けて頂いて本当にありがとうございます。なんとお礼を言っていいかわかりません。本当にありがとう。」

母親から流れる涙に慶介は困惑した。

「いえ、そんな事ありませんよ。普通の事をしただけですし…」

「理恵もお礼を言いなさい」母親が娘に促す。


「お兄ちゃん。ありがとう。怖かったけど、みんなが来たときうれしかった。」

来た時からずっと硬い表情をしていた少女だったが、


言葉を言い終えた時はにこっとして慶介を見上げた。

その姿に慶介は少し涙腺がゆるんだ。