楓side

服が入った紙袋いっぱい抱えてるから、とりあえず座りたい。

「ねぇ、楓ちゃん。荷物重いし、混んでるけど どっか空いてる座席探そうよ」

うわぁ…。まさに今あたしが考えてたことだ。

さすが、親友パワーはすごいなあ。


さっそく、空いてる座席を探すために、一両目から順番に歩いてきたけど、どこも空いてない…。

次で最後尾だ。どうか、空いてますように!祈るような気持ちで最後尾の車両に続くドアを開けると…、うわっ。ここも満席だぁ…。

「そんなあ…。」

思わずそうつぶやくと、ともに黙って肩を叩かれた。

ともの顔をみると、なんか、うんうんって、諦めたような顔してる。

仕方なく、電車の出入り口のドアの前に立つ。

ふと電車の中を見渡すと、座席に座ってる一組のカップルが目にとまった。
2人で雑誌観ながらいちゃいちゃしてる。

なんか、イラついてきた。
この、リア充め!!

ともをみると、とももリア充…じゃなくてカップルのことをみてる。
なんだか魂の抜けたような顔してるけど、何を思っているんだろう。