「俺、今年の夏休みから部活あるけど!」

「ああ♪そのことならご心配なく~♪こうちゃんきっとそう言うと思ったから、日にちは決めないでおいたわ~。」

うっ。俺頭の中読まれてる?!

「ほら。これならもう心配ないでしょ??こうちゃんの都合に合わせられるし。部活日予定表貰ったら、空いてる日教えてね~。あ、それからキャンプまでに必要なモノ買っておくのよ!それじゃ、お邪魔致しました~♪♪」

「あっちょっと待てよ!!」

       
        ガチャン!


おい…俺の話も聞けよ…。人の部屋に勝手に入ってきて、自分の話したい事だけ話して行っちゃうのかよ~!!

ていうか友花の前では絶対に“こうちゃん”って呼ぶなよ!
というか中学生にもなって家族で旅行かよ…。いとこでもあるまいし…。

…でも、上手く利用すれば友花と2人きりになれるかも!?



父親が通り魔に刺されて死んでから、俺は引っ込み思案になった。無駄にでしゃばってターゲットにされたくない。
…父親がそうだったから。
明莉が生まれてすぐだったかなあ。だから、明莉は父親の顔を覚えていない。


そんなわけで、引っ込み思案な俺は幼なじみの大好きな友花を遠くから見つめることしかできない。

けれど、友花の母親と俺の母親が同級生だったおかげで、こうして年に一度くらいのペースで友花の家族と俺の家族で旅行に出かけている。

去年までの俺は、大人がする“子作り旅行”というものを知らなかった。だから友花になにかしたことはなかった。
まあ、ガキの頃はしょっちゅうスカートめくりしてたけどな…。

でも、中学生になった俺は違う。聞くからにつまらなそうなこの旅行を、絶対子作り旅行にしてみせる!!