「じゃあ今までは、どうやって業務から逃れていたんですか?」

「ははは、逃れるね〜うんうん…ちょっと涙が出るね〜お兄さん」

山形さんは泣くフリをすると、説明を続けた。

「うちわけはね〜夏休みでしょ〜?有休でしょ〜?それから取材旅行休暇?みたいな〜」

指で一つ一つ数えながら、山形さんは大人の事情を教えてくれた。

「…経費、出るんですか?」

自分の口からそんな言葉が出ていた。

最近、ロイズと意識が混合している気がする…

「…小学生に経費とか聞かれちゃったよ、ハル君…ちょっと感動しちゃった…」

「オレ、経費とかちょっと分からないけど…深谷君、大人だなぁ〜」

山形さんとハルに、妙な所で感心されてしまった。以後、気をつける事にしよう…

「盛り上がっている所すみませんが…大丈夫なんですか?取材の方…」

「そうですよ、山形さん!それに、いつまでこちらにいれるんですか?宝探しは?」

「ご心配ありがとう…大丈夫だよ、これが最後になるけどね」

「じゃあ、夏休みいっぱいですね…」