藤代くんからの告白は、私の予想を遥かに越えていた。




話している藤代くんの、眼鏡の奥の、目の縁は、段々と赤らんできている。




「…結果的に、櫻田を傷つけることになったのは反省してる。だけど、あの男に関しては、、、やっぱり許せないんだ。直接的じゃなくても、妹が死んだのはあいつのせいだ。」




喉がからからになって。


私は藤代くんに何て答えてあげればいいのか、わからない。



話を聞けば聞くほど、混乱するばかりだった。



藤代くんの妹さんのことから。


中堀さんのこと。



いつの間にか、人通りは少なくなっていたけれど、私達二人にはそんなことすら、気付ける余裕がなかった。




だから。




「あの人が言ってたように、あの男はそれをむしろラッキーだったと感じて、のうのうと生きてる。そんなの、、許せない。」





「…それは、違うよ。」




向き合う私達のことを、途中からずっと見ていた人が居た事だって、知る筈もなく。





小さいけれど、しっかりとした否定の言葉に驚き、辺りを見回した。




「…タカ…」




振り向いた先、立っていたのは、茶髪のタカだった。




「……久しぶりだね。ミサキちゃんのおにーちゃん。」




厚手のパーカーのポケットに、両手を突っ込んで。



真っ直ぐな目で、私達を見ていた。