詐欺師の恋

『零のせいで、こっちは色々大変だったんだからなー!!急に居なくなりやがって!』




スタッフルームの入り口で、ケイがぷんすか怒っている。






『それをなんだよー、花音ちゃんとエンジョイしてるのか…ぶっ!』




『邪魔』





中堀さんに蹴飛ばされたケイ。


哀れ過ぎる。


腹部を抱え、蹲(うずくま)るケイを横目に、部屋の中へ入ると、中堀さんはやっと私を降ろしてくれた。




地に足は着いたけれど、中堀さんの首に回した腕を解くのが、少し名残惜しい。





『…何?』







首筋の、きれいな金色の髪に、そっと触れれば、中堀さんは不思議そうな顔をする。




茶色の瞳と視線が絡み合う。







どうしよう。






今の雰囲気、空気、大丈夫だよね?



間違ってないよね?




どうしよう。




唇に触れて良い?


ううん、触れたい。




時間が、止まりそう。



胸が、熱い。






良いかな?




良いよね―





そっと目を閉じて―