「ありがとうございました。では」
そう言って、立ち上がった。
体も温まったし、そろそろ帰るか。
家出しても、自立出来ないことがわかった。
……いや、元々わかってた。
だから、潔く帰って、怒られよう。
「心配かけて、ごめんなさい」って、謝ろう。
見知らぬ人にも助けてもらったし。
もし、声をかけてくれた人が、誘拐犯とかだったら今頃のアタシはどうなっていたかわからない。
考えると怖い。
アタシを短い家出は、これで終わりだ。
優しいイケメン高校生にもう一度頭を下げて、家の方に歩き出す。
「え?! 帰るとこあるの?」
突然、大きな声で聞いてきた。
近所の人に迷惑だろってぐらいの大きな声。
それにこの人、アタシを家なし子と思ってた?!
「あります……けど?」
「あ、そうなの?! 俺 勘違いしてた!」
優しいイケメン男子は、子供みたいに笑顔で手をポンッと、叩いた。
そんな姿でも絵になるイケメン。
……やっぱりどこかで見たことが……。
アタシと同じくらいと思ってたけど、本当は、もう少し下、なのかな?


