なんて、優しい男の子にちょっとばかしホレてしまったアタシ。
見知らぬ男にホレるなんて、どうかしてんな。
でも、よく見れば、なかなかのイケメンじゃん。
明るい茶色の外にハネた髪、通った鼻筋。
安定のイケメン。
どっかで見たことあるような気ぃすんだけど……。
どこかで……。
通学の電車の中かな。
「まぁ、いいや」
「なにが?」
思ったことが口に出てたみたい。
アタシとしたことが。
「いえ、何でもないです」
慌てて否定して、残りのカフェオレを一気に飲み干す。
手の中のまだ温もりが残る缶は、アタシの体と心を温めた。


