家出少女の拾われ先はテレビの中の人達でした。


なんて、優しい男の子にちょっとばかしホレてしまったアタシ。

見知らぬ男にホレるなんて、どうかしてんな。

でも、よく見れば、なかなかのイケメンじゃん。

明るい茶色の外にハネた髪、通った鼻筋。

安定のイケメン。

どっかで見たことあるような気ぃすんだけど……。

どこかで……。

通学の電車の中かな。


「まぁ、いいや」
 

「なにが?」


思ったことが口に出てたみたい。

アタシとしたことが。


「いえ、何でもないです」


慌てて否定して、残りのカフェオレを一気に飲み干す。

手の中のまだ温もりが残る缶は、アタシの体と心を温めた。