一応、近くに捨ててある傘を探すも、見当たらない。
が、
──代わりに、人を見つけた。
こんな大雨の中、電灯の下のベンチに体育座りして、水色のカーディガンを羽織った、傘もささずに家にも帰らなそうな変わった人を。
「このままじゃ、冷たくなるじゃん」
俺は、見知らぬ、男か女かも分からない人に声をかけた。
「おーい、お前このままだと、凍死すんぞ」
近くによって声をかけてみる。
でも、少し待っても反応がない。
……もしかして、やばい感じのやつ?
「も、もしもーし」
「……え?」
声とともに上げられた顔は、俺のハートを鷲掴みした。
こんなことしないかと思ってたけど……。
一目惚れした。
公園の電灯に当てられた顔は、モデルをやってそうな、とても──
カワイイ顔をしていた。
けれど、今はこの子に見とれてる暇ない。
早く温かい所に連れて行かないと、本当に凍死してしまいそう。
それぐらい、顔は青白いし、唇も紫になってる。
それに加えて、体も小刻みに震えてる。
「と、とりあえず、俺ん家来て?!あ、でもちょっと待ってて?近くの自動販売機で暖かいもん買ってくっから!」
自分でも何言ってるのか分からないくらい緊張&混乱してる。
俺って、こんなに子供だったっけ。
って、情けなくなってくる。
でも、名前も知らないカワイイ子は、静かに頷いてくれた。


