「はいいいねー、少し視線ちょーだーい」
カメラマンさんの声がスタジオに響き、ヘアーメイクアーティストさんがwishの髪をセットし、撮影に使うであろう小物や機材が運び込まれる。
嶺君、嫺君、奏ちゃんは仕事スイッチが入って、表情が一変した。
昨日は、あ、クラスの男子たちと変わんないな~なんて思ったけど、やっぱり違った。
服やセットの雰囲気、カメラマンさんの指示に合わせて、オーラが変わるっていうか……
とにかく、すごい。
多田さんは次の予定の確認。
そして、アタシはというと──
スタジオの端の方で見学中……です。
なんとか邪魔にならないように。
……というか、すでに邪魔だからこれ以上邪魔者にならないように、気配を消す努力してます。
はい。
「あのぉ、すいません」
「あ、はい」
スタジオの端の方で気配を消してる真っ最中、二十代ぐらいの黒髪ストレートの女性スタッフが、おどおどしながら声をかけてきた。
どしたのかな……
お手伝いとか?
「関係者の方ですか?」
え……
そんな、怪しい者に見られてたのか……
「えーっと、関係者といえばそうです」
聞かれたことと、女性スタッフの聞き方に驚いて、恐る恐る答える。
「すいません、確かじゃないと」
「……あ、はい。わかりました」
女性スタッフは、申し訳なさそうに、出口の方をチラチラ見る。
外に出て……ということですか。
「すいません」
ペコッと頭を下げて、重いドアを開けて日の光で明るい廊下へと出て行った。
……追い出されちゃったよ。
仕方なかったけど。


