「ん、んー。あれ?」
むくっと、多田さんが起き上がる。
そして、辺りをキョロキョロ見回す。
どうやら、意識がはっきりしたみたい。
「あの……」
「き、きききききききききき君、誰?!」
恐ろしいものを見つけた時みたいに、後ろに下がる。
効果音を付けるとしたら、ダダダダダーだ。
……ていうか、そんなにアタシ恐いですか。
般若みたいな顔してますか……
若干、失礼じゃないっすか?
……という、イライラを抑えて、
「アタシ、篠原美夜って言います」
と、天使の微笑みで返した。
「は、華幡さぁぁぁぁん!」
アタシ、そんなに怖いかな~?
多田さんの反応を見て、改めて思う。
「ん?多田ちゃん、どした?」
クスクス……いや、ニヤニヤしながら、台所からお茶を持ってきた。
完璧に面白がってる……
「この子、いつから居るんですか?」
「昨日の夜から」
「何か事情が?」
「家出した子が雨に濡れて、風邪ひかないように家に入れたってかんじ」
「大丈夫なんですか?」
多田さんの言う、“大丈夫”は、ファンに家がバレないかってことだろう。
そりゃ、どこの馬の骨かもわからない奴がいたら、そう思うのは当然のこと。
wishの三人が優しすぎるんだよ。
きっと……いや、絶対。


