家出少女の拾われ先はテレビの中の人達でした。


「とーちゃく!」


公園の段差を飛び越えて、体操選手のポーズ。

全力で走っても、息が上がらないのは普段からのトレーニングのおかげ。

最初の方は、走ったらすぐにバテてたけど。

ていうか……俺、何やってんだ。

一人でこんなことして、もし人に見られたら、恥ずかしいって程じゃ収まらない。

二人がいれば、こんな事しても恥ずかしくないんだけどなー。

二人も連れてくればよかった。

今度連れてこよ。


ポツ……ポツ……ポツ……


「おぁ?」


突然肩に当たった“何か”を確かめるため、上を向いた。

ポツポツポツポツポツポツ────

雨だ……。


「やべ、傘持ってきてねぇー」 


しょうがなく、俺は今着ている上着に付いているであろうフードを探す。


「ないし……」


残念ながら、フードもなし。 


「走って帰るしか方法はなしかー」


俺の独り言は、強さを増す雨の音にかき消されていった。