「ここ」
「あ、はい」
「……ごめんな」
パチッと、電気が付けられる。
「え?」
「いや……客が来てるのに、客室案内せずに先に寝て」
「あ、いえ……仕事、忙しいですもんね?テレビで見ない日はないってかんじですし……」
嫺君は、何が可笑しかったのか、ふふっ、と笑い、「おやすみ」と言った。
「お、おやすみなしゃい……!」
いい加減馴れろや!
たどたどしさなくなれや!
噛むなや!
アイドルだけど、同じ高校生だぞ!
「あ、そーだ」
何かを思い出したように、振り返る嫺君。
「寂しくなったら、こっち来てもいいよ?」
と、意地悪そうに笑った。
「は、はぁ?」
パタンと閉まるドアを見送りながら、突っ立っていた。
“寂しくなったら、こっち来てもいいよ──”
「行けるかって!」
顔の火照りを感じて、急いで布団に潜り込んだ。
冗談、冗談……
あれは、冗談だ!
第一、人気アイドルwishが、アタシなんかを相手するはずない!
なに本気に、してんだ!
ばかか!
と、自分に言い聞かせる。
こんなんで、本当に寝れるの〜?!


