「……大丈夫?凄い怒鳴ってたけど」
眉毛を八の字に曲げた奏ちゃんが、アタシの顔を覗き込む。
あ、ヤバい。
人の家ってことをすっかり忘れてた。
「あ、すいません!ついカッとなっちゃって……」
慌てて、頭を下げた。
だから……
目の前の机に、
ゴンッ!!
おでこを勢いよくぶつけ、額が真っ赤になって、プラス、尋常じゃないくらいの痛みが襲
ってきた。
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「……で、家追い出されちゃいました」
さっき、頭を思いっ切りぶつけて、
あかーくなったところは、奏ちゃんにもらった保冷剤を当てている。
そして、今までのことを話した。
「なんで、家追い出されるって分かってたの?!」
ずっと黙って聞いていた嶺君が、ソファーにふんぞり返って、「フンーッ」っと効果音がつくぐらいの鼻息を出した。
どこの馬の骨かも分からないアタシを心配してくれるなんて……
こんな優しい人、多分、嶺君以外会わないだろうね。
まぁ、そんなに深い理由ではないんだけど……
「それはですね……」
そしてアタシは、ゆっくりと話し始めた。
お父さんとお母さんの離婚、お母さんがホストにハマったこと、全部全部。


