「は?」
あれ?案外落ち着いてる。
なんでだろうか。
いや、多分心の隅で思ってたんだ。
いつか、こんなことを言われる。
と……
《真紀羽(マキハ)さーん?俺ら全部飲んじゃったよ~、おかわりちょーだーい?》
電話の向こうから、うるさい音楽と、若い男の人の声が聞こえてきた。
はぁ、お母さんまたホストか。
高校生のアタシをバイトさせといて、その金でホストっすか。
そうっすか……。
この瞬間、アタシの中の何かが切れた。
「っざけんなよ!!自分の金ぐらい自分で稼げっての!いいよ、わかったよ。出て行くよ、ついでに家族の縁も切ってやんよ!」
思いついた言葉を、全部スピーカーに向けて怒鳴った。
最初は、離婚してそのストレスから逃れようとして、行ってるんだって思ってた。
だから、お母さん綺麗だから、すぐに彼氏見つけて、ホストなんてすぐに行かなくなるだろうって。
でも、現実は違った。
周りの男の人は、お母さんの“見た目”を好きになって、 いざ付き合ってみると、お母さんのワガママが嫌になって、すぐ別れる。
お母さんはお母さんで、ホストにどっぷりハマって、金をつぎ込む。
結局、お金が足りなくなって、アタシはバイト三昧。
友達と放課後の寄り道とか、彼氏とデートとか、そんな青春、経験したことがない。


