家出少女の拾われ先はテレビの中の人達でした。


《yeiyei~♪
ほら 君の向日葵のような笑顔を見せてよ~♪
デッカい声上げて笑おうよ~♪》


「あ、まただ……」


お母さんからの電話。

アタシは、『拒否』を押した。


「え?!切っちゃっていいの?」


「いいんです。家出中ですし」


そう言って、ホーム画面に戻す。

キラッキラの笑顔の3人のアイドルと目が合う。

左側の黒縁メガネをかけた焦げ茶の髪。

凛々しい眉毛の整った顔立ちの人は、華幡奏太(ハナバタソウタ)。

右側の切れ長の目に女子より白い肌。

真っ黒な髪の毛に似合わず、スイスと日本人のハーフで、日本人離れした顔立ちのイケメンは、嫺礼智(ミヤビライチ)。

そして、真ん中にいる大きな笑顔の笑った口から八重歯が光る。

明るい茶色の外ハネの髪、誰もが認める安定のイケメンは青峰嶺(アオミネレイ)。

今、一番人気があるアイドル、with。

写真だけど、たまにドキッとする。

今の着信音もファンの友達が勝手に変えた。

でも、戻すのが面倒でそのままだった。

それと、アタシ自身、少しwithのファンになりつつあるから。


「……トコロデサ、ソノ着信音ナンノ曲」


「は?!」
 


なんだ、この人。

人の着信音に勝手にツッコむって。

あれかな、wishのファンなのかな。

そーか、そーか、納得。

あー、じゃあアタシの友達紹介してみるかなー。

イケメンだし、話し合いそう。