「無理っす。暇じゃないんで」


第一、あたしは彼氏持ちだ。


浮気男への逆襲を誓った身で自分が浮気とか、そんなんシャレにならんっつーの。


「え~、そんなこと言わずにさぁ」

「こうして会えたのも何かの縁じゃん。大事にしなきゃ損するぜ?」


うん。だったらはじめから "暇なら" という条件をつけるなたわけ者。


それ、ちまたじゃ強制連行って言うんだぞ。


あと2人目の口説き文句うざいぜよ。


大事にしたい縁は自分で選ぶから干渉すんな。


などと、ひたすらツッコミ所を列挙しつつウンザリ顔を極(き)め込んで、どっか行けよオーラを存分に放出するあたし。


だがどうやらかなり深刻なレベルでKYらしい彼らは全く気付いておられないので、あたしは深ぁーいため息をついて口を開いた。