「は、はぁ……どういたしまして……」
唖然としつつもどうにか反応を示すと、彼女は恥ずかしそうにプイッと顔を背けて腕を組む。
そして、その形のいいラズベリー色の唇から、思わず耳を疑うトンデモ発言を飛び出させた。
「そこのストーカーカップル。そんなにお礼が欲しいならたっぷりしてあげるから、今日一日私達に付き合いなさい」
「……は?」
我ながら間抜けな声が漏れる。
さっきは顔合わせただけで嫌がってたくせに、なにゆえそのような命令を??
マジで意味不だなこの女王サマ。
そう思ったのは、どうやらあたしだけではなかったようで──
「結衣、どういう意味だよそれ」
青白い顔でうなだれてた元彼くんが、怪訝そうに新カノさんを見つめる。
すると、彼女はほんのりピンクに染まった頬を膨らませ、相変わらずのツンデレフェイスで面白くなさそうに吐き捨てた。
「嫌みったらしい元カノさんの慰労を兼ねて、Wデートしようと思っただけよ。悪い?」
わっほぃ。
これはアレだね。未曾有の大事件ってヤツ。
まさかの"3倍返し返し"。
逆襲のために利用した嫌みキャラが、よもやこのような事態を招いてしまうとは…。
中沢凛花、一生の不覚である。

