という、至極もっともなツッコミをぶつけるなんて命知らずな真似はできないので、あたしは心の中で盛大に舌打ちをかます。
そして──チュッ。
もうどーにでもなれというヤケクソ精神で、口ではなくほっぺたに唇を押し当てた。
今のあたしにはこれが限界です。
「え~…それだけ?」
そんな物足りなさそうな顔で見られても、恋愛初心者にはハードル高すぎなんでね。
ここは上級者の先輩が快く折れてちょーだい。
という開き直り顔で見つめ返すと、彼はフッと小さく笑みをこぼして。
「まぁいっか。なんだかんだで、結構頑張ってくれたみたいだし」
「へ?」
「顔。真っ赤」
クスッと楽しげに笑う先輩に、例によって心拍数が急上昇。
あーもう、マジで何なのこれ。
気恥ずかしさで昇天しそうなんですけど。

