「わ、わわ分かった! ちゃんとするからっ!」
だから今すぐ離れたまえ。
でなきゃガチで錯乱するぞ。いいのか。え?
などと心の中でしか脅せない哀れなあたしに、先輩は満足そうに微笑んだ。
「よしよし、お利口さん」
子どもをあやすようなノリで頭をポンポン。
くそう。ときめく。
いちいち人の心臓刺激すんなし。
「じゃあ、はい」
長い睫毛を伏せて、そっと目を閉じる彼。
目の前わずか数センチの距離にある端正な顔に、ドクドクと鼓動が速まった。
「……」
屋上で寝顔見た時も思ったけど、本当に綺麗な顔してるなぁ。
全体的にキリッとしてて、羨ましいくらいバランスの整った目鼻立ち。
1回女装とかさせてみたいな。なんて、不純な発想が脳裏をよぎった。

