「た…たとえばどんなのがいいわけ?」
一口に "ご褒美" と言われても、正直なところ全くイメージが湧かない。
ので、参考までに聞いてみると──
「決まってんじゃん。お姫様の口付け♪」
という、びっくり仰天のファイナルアンサーが飛び出し。
まさかまさかの無茶ぶりに、自然と目が見開かれた。
「ほら。早くしてよ」
ニコニコ笑顔を近付けてくる魔性の男。
おかげさまで、中沢フェイスはトマトみたいに真っ赤であります。
「む……むむ無理! それはさすがに恥ずかしすぎるっ!」
ぶんぶん首を横に振る。
が、そんなのは所詮無駄な抵抗。
「ダーメ。ちゃんとしなきゃ帰さねぇから」
細マッチョな腕でがっちりホールドされてしまい、まさしく袋のネズミである。
うーむ。こ、これはちょっと……マズいかも。
口から心臓が出てきそうなレベルだよ。

