「な…何ですかい?」
我ながら古風な返し。
笑顔がナチュラルでも意味ないねこりゃ。
「ぷっ。なに緊張してんの」
あちゃー。やっぱりバレてる。
さすがこの人には敵いませんね。
「先輩みたいな美形にじっと見られると、一般人は畏縮(イシュク)しちゃうんですよ」
よしよし。今度はなかなかイイ返し。
これなら先輩も少しは動揺してくれるはず。
──と、ほくそ笑んだのもつかの間。
「だったら、もっと見つめちゃおうかな」
ニヤッといたずらっぽく笑い、じりじりと距離を詰めてまっすぐあたしの目を見る。
うーん。き、気恥ずかしいのう。
こんな羞恥にらめっこは初めてだよ。
「お? りん、顔赤ぇぞ。熱でもあんの?」
無いと分かっていながら、したり顔でコツンと額を合わせてくる。
うひゃー。なんという破壊力。
心臓わし掴みなんですけど。冗談抜きで。

