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「ふー……どうにかまいたな」
額にうっすらにじんだ汗を拭いつつの先輩が、ようやくあたしを下ろしたのは別の公園のベンチの上。
先程の黒ずみ感は全くなく、同様にザンネン感も皆無。
まぁでも全体的にさびれた雰囲気だから、ベンチだけ小綺麗でもしょうがないんだけどね。
フッと苦笑しながら、微妙にズリ上がったスカートを直していると──
「はい、りん。お茶」
にっこり優しく微笑んで、先輩があたしの好きなウーロン茶を頬に当てた。
おぉ。冷たい。
目を細めてピクッと体を揺らすあたしを見て、楽しげにニンマリ笑うアッくん先輩。
「──なぁ」
ちょっぴり小悪魔感が漂う、意地悪な目であたしを見つめる。
うん。ものすっごくヤな予感。
だってこの顔、絶対何か企んでるもん。
うんうん。そうに違いない。
小刻みに震える手でペットボトルを受け取り、あたしは努めてナチュラルな笑顔を見せた。

