鏡の中の友情

俺は保健委員に所属している。俺の学校では保健委員は月に一回集まりがある。今日も保健室での毎月恒例のその集まりが終わり、俺は穂那実の待つであろう教室へ向かって歩き出した。外はすっかり日が暮れて、薄暗くなっていた。日の光のささない学校の廊下は重苦しい不気味な雰囲気を放っており、俺の足は自然と早くなっていた。

やっと階段までたどり着くと、俺はついに走り出してしまった。実は怪談話などは苦手なほうなのである。階段の踊り場まで上り、更に上を目指そうとしたとき、

?「............て」

後ろから声が聞こえた。
俺は肩をびくっと震わせて立ち止まる。恐る恐る後ろを振り向いてみるが、後ろには踊り場にある大きな鏡以外何もない。この学校に入学したときから横が二メートルくらいあり、縦は天井まである大きな鏡が階段の踊り場にあるのは不気味だと思っていたが、今改めて見ると更に不気味だと思う。

さっきの声は気のせいだと何度も自分に言い聞かせ、再び階段を上ろうとした。

?「...たすけて」

今度は勢いよくばっと振り向く。だが、やっぱり誰もいない。そのまま教室へ向かってしまおうかとも思ったがやはり気になってしまい、俺は鏡の前まで歩いていった。

隼人「まさかここから聞こえてるわけじゃないよな...」

俺は軽い冗談のつもりで鏡に触れてみた。すると、俺の手は鏡に触れることなくまっすぐに鏡の中へと入っていった。

隼人「!?」

俺はすぐに手を引っ込めた。

隼人「...鏡の中は...どこかに繋がってたりするのか...?」

俺が不思議に思っていると、またあの声がした。

?「たすけて!」

その声はやはり鏡の中から聞こえた。助けを求められているのだから無視をするわけにはいかない。そう思った俺は助けを求めている奴の所へ行くことに決めた。怖くないわけではないがそいつの方が俺よりも恐怖を感じているのだと思うと自然と恐怖はなくなっていった。

隼人「すーはー...」

大きく深呼吸をする。


そして、俺は覚悟を決めて鏡の中へと入っていった。