実際、景は



インターホンを押したのは


女子寮の寮母だと思っていた


寮母さんが、四人が私を呼んでると伝えに来ると思ってたのに......



まさか本人たちが出るなんてなぁ
ほんと、すごいや皆


景は、目の前にいる真剣な表情の四人に向かって、笑顔を作った


「皆、ここ女子寮なのに」


「んなことどうでもいいよ。なんで何も言わずに寮母辞めちゃったんだよ」

「え......」


咲夜に強く言われて、景は内心びっくりした


私のこと......そんなに必要としてくれてるの?


「景ちゃん、また戻ってきてほしいんだ」

「お前は寮母でいたくねえのかよ」

「景、僕たちは納得してない」



次々に三人にも言われ、景は思わず涙が出るんじゃないかと思うくらい嬉しかった


この皆の言葉で
自分はちゃんと皆のために寮母として働けていたと感じることができる

校長や先生、パパには伝わらなかったかもしれないけど


多分私はちゃんと寮母だった


だからといって
何もできない自分がさらに嫌になる反面


いっそ四人にすべて打ち明けて

自分ではどうにもならないんだと
どうしたらいいのかと、相談してしまいたくなる


でも景は


最後の最後まで寮母を全うするつもりだった