私、笠上景は今、呆然とクラスに立ち尽くしている



「笠上さんが寮母とかマジ聞いてない」

「しかも寮の生徒がライと結斗くんと咲夜くんと爽馬くんて意味不明」

「それって私たちもなれるの!?私だって寮母になりたい」




こ......こんな騒がれると思わなかったなぁぁ.....!


たった今、これ以上色々と誤魔化すのも苦しくなった私は、クラスメートのみんなに寮母であることを打ち明けたのだ



クラスは一部女子の悲鳴で溢れていた



「ねぇライ!なんでライは笠上さんの寮に入ってるの?普通の寮じゃ駄目なの?」

「......知るか散れ」

「ねぇライ〜〜〜」



恐るべき4人の人気


こうなることを予想していなかったわけではないが、この騒ぎは時間が解決してくれるんだろうか


「大変だねぇ、笠上さん。ただお家がこの学校の寮に携わってるだけなのにね」


優しいクラスの優等生女子、果子(カコ)ちゃんに慰められ、私は苦笑いした


「うん......まぁしょうがないよね」


「なんか困ったことがあったら、いつでも助けるからね」


今は、こうして理解してくれる人がいるだけで十分なのかもしれない



「......ありがとう。ほんと、助けられてばっかりだよ」


私はにこりと笑顔を作った



「ええよ全然。うちはあいつらぶちかますくらいの勢いで助けるわ」


突然鈴菜が会話に入って来て、私たちは頭一つ大きい鈴菜を見る


「さすが九雷さん。頼もしい」


「鈴菜ちゃんやりかねないなぁ」


私たちが苦笑いしながら口々に言うと、鈴菜はふふふと不敵に笑いながら指を指した


「みてみ波屋有姫。こっち睨んでんで」

「人を指ささない」


そう、さっきから一言も喋らずただこちらを睨んでいる二重人格波屋有姫


つい先日も、私たちは波屋有姫に変なことを企まれたばかりだった


結局あの後、本当のことを鈴菜ちゃんに話すと............


『要は火野が私のことを嫌いな振りしてくれたら収まることやん』


という鈴菜ちゃんの一言で片付けられてしまった



まぁ、嫌いな振りまですることはない

今は特に喋らず関わらずでやり過ごせているようだ



根本的解決にはなってないが

今のところあの事件は終わったと思っていいだろう



なんか......私が一人面倒ごとおこしたみたいだったな............