「あのね、結斗」


「うん?」


「さっき、水穂先生に、大きくなりましたねって言われちゃったよ」



景は前を向いたまま、先ほどの出来事を結斗に言った


魔術科の学科授業などでは水穂とも面識はある結斗は、へぇ?と少しばかり驚いたような反応をする


景は以前、男子寮Aでお手伝いをしていたころに水穂と面識があった話をすると、結斗は「なるほどね」と笑って頷いた


「でね、私、寮母であって息が吸えてるんですねって言われたんだよ。本当にそうなんだ。私、多分寮母やめちゃったら生きていけないんじゃないかなぁと思うくらい、この仕事が好き」


「うん。よく知ってるよ」


「でもそれ以上に.....みんなが好きなんだ」


「景ちゃん.....」



景には見えないけれど、結斗は優しく彼女を見下ろし微笑んだ


「ライの、顔には出さないけど、本当はみんなのことを考えてるところが好きだし

咲夜の、人の痛みにすぐ気付いて、なんでもないフリして笑わせてくれるところも好き。

爽馬の、近寄りがたい雰囲気があるけど、実は一番下らない話を真面目に聞いてくれるところとか

日向の、なんだかんだ言いながらワガママに付き合ってくれるところが好き。

それと、結斗の.....

大丈夫だよって、微笑んで安心させてくれるその優しさが大好き.....なんだよ?」