生徒だけど寮母やります!⁑


夕飯を食べ終わって
皆も自室に戻った後


私はライの部屋の前に立っていた



軽く二回ノックする


中から、ゆったりとカーディガンを羽織ったライがでてきた



「ライ、大丈夫?さっきもなんか、あんまり食欲なさそうだったし」


「入って」


「え......」


「話、聞いて欲しい」


ライから部屋に入るよう促され、私は戸惑いつつも部屋に入った



「適当に座って」


ライにドアを閉めながら言われて、私は小さいテーブルの前に正座する


ライは、その向かいであぐらをかいた



「それで、どうしたの?」


「悪い。すぐ終わるから、話を聞いて欲しい。今日、俺が九雷と話してたこと」


私が、クラスの女子たちが気になっていたことだ


「......うん」


「俺もお前と同じでハーフだった。今の母親は本当の母親じゃない」


「どういうこと?」


私は首を傾げる


「俺、雷属性の魔法使いなのに、名字が火野なんだ」

「うん。そうだね」


言われてみればその通りだ


「小さい頃から疑問だった。家族や親戚は皆、火属性なのに俺だけ雷属性。

親がそれに触れないようにしてるのも、親戚が裏でこそこそ言ってるのも知ってた」


「ご家族は、全員火属性......ライだけが雷属性......」


「ああ。俺の本当の母親が、雷属性の魔法使いだからだ」


そう言うライの顔が、少し歪んだ



本当の、母親......



「笑うよな、去年聞かされた」


「......え?」


「火属性である今の母親と血のつながりがないこと。俺が火属性を汚した忌み子として親戚から嫌われていることも」


......!!


それを聞いて、なんと言えばいいのか言葉がでてこなかった


「そう、だったんだ......」


「だから俺は火属性の奴らとは関わりたくなかった。この学校もそれを配慮してか、何故か同じクラスに火属性はいないと事前に連絡があった」



自分は何も悪くないのに


周りから邪険にされる気持ち


一体どれほど苦しんでいるのだろう



「この少人数の寮に入れられたのが俺なのも、そのせいなんじゃね」


「どう......なんだろうね。......一つ、聞いていいかな」

「ん?」


ライが私の目を見た



「本当のお母さんは......?」


「今日、九雷から聞いた。あいつの父親の従姉妹なんだと。今は、もう寝たきりで目を覚まさないらしい」


それで鈴菜ちゃんは、ずっとライと話していたのか



「本当のお母さん......病気?」


「さあ。まぁ、会ったこともねぇし、何とも思わねぇよ」



ライが寂しそうに呟いた