夏休み最終日の朝


景は寮のキッチンにてコポコポと紅茶を淹れていた


後ろから誰かがキッチンに入ってきた気配がする

毎日一緒に暮らしてきた景の女の勘からして彼は


「おはよう、結斗」

朝風呂上がりの結斗だ

「景ちゃんは最近後ろを振り向かなくても俺がわかるね」


結斗は濡れている髪をタオルで拭きながら景の背後に回る

「う.....うん?」

俺がっていうか多分皆んな分かると思うな.....景はそう思いながら人数分の紅茶を入れ終えた


「結斗.....トマトジュースなら冷えてるよ?」

「ありがとう、後で飲もうかな」


結斗は景をすっぽり前に入れる形でキッチンに手を突くと、紅茶の入ったトレーを覗き込む


「.....分かった。じゃあまた後で持ってくね」

顔の横に彼の頭

シャンプーの香りがふわっと香り、景は思わず顔を赤くした


「カップが6個.....斎藤先生の分?」


結斗の疑問に景はふるふると首を振った

「斎藤先生は今日は普通に出勤するから午後来るって」


じゃあ一体この6個目は.....、そんな不思議そうな顔をする結斗を見て景は苦笑いすると

結斗の手を取って横の冷蔵庫へ向かい

カパッとそれを開ける


「咲夜ー、いつまでも拗ねてないで出ておいでー」

「え.....咲夜?」


そう、6個目の紅茶は帰省から戻ってきた咲夜の分だった