「あれが.....爽馬の本来の姿.....」

「さっきまでは完全に狐の姿だったんだけど、ああいう姿にもなれるんだね」


景の呟きに結斗が答える


「結斗は!?いきなり現れてたけど.....」

「ヴァンパイアっていうのは、霧になって動くことができるんだよ。まさかこんな時に役立つとはね」


そう言ってニヤリと笑う結斗があまりにも綺麗で、景はゴクリと唾を飲み込んだ


「うん.....結斗の能力って.....すっごく素敵だね」

「......ありがとう、景ちゃん。君に褒められるなら、この能力も案外捨てたものじゃないのかもしれないね」


案外捨てたものじゃない、なんて

そんなのとんでもない.....


こんなに素晴らしい能力を持って、人が困っている時に使うことが出来る


それって凄いことだ


私って

みんなと一緒に生活していながら、一人一人の能力についてほとんど何も知らなかったんだなぁ.....


「さぁ、狐たちが本領発揮してる。ちょっと高く飛ぶよ」

そう言ってもう一度結斗は景を抱えたまま後方上へ飛び、さらに高い木の枝へと飛び乗った