景としては真剣に言ったつもりだったその言葉


しかし直後、後ろから聞こえてきた笑い声に彼女はとっさに振り向いた


「っははは.....」


「え.....そっ、爽馬!!」


立っていたのは、ツボに入ったようにクスクスと笑う爽馬

ただでさえ普段笑わない彼に真剣なセリフを笑われてしまい、景は少々複雑な気持ちになった


こんなに爽馬が笑ってるところなんて、初めて見るんじゃないかな.....


「てかどうして私がここにいるって.....」

戸惑うような、安堵するような間抜け面で尋ねる景

爽馬も景の顔を見たからか、どこか安心したようだった


「景が帰ってこないから心配して来た」

「来た、って場所も言ってないし、私ですらここがどこか分からないのに.....」


すると爽馬の横にいきなり結斗が現れ


「俺たちを誰だと思ってるの?」

とニヤリと笑ってそう言った


「結斗!」

えっ、今どこから現れたの!?

「やっと景を見つけたと思ったら宣戦布告してて思わず笑ったよ」

そんな爽馬の言葉に、うんうんと頷く結斗

「だ.....だってあの狐が!」


結斗は景との距離を縮め彼女の前まで来ると、その手をとって優しく抱きしめた

「本当、無事でよかった。でも、殴ったって蹴ったってなんだってしていいなんて言わないでよ景ちゃん」

「結斗.....」

「手、怪我させちゃったね。座ってて大丈夫だから、あとは俺らに任せて」