普通に威嚇されてるーー!!


狐は大きな口を開けて鳴き、今にも噛み付かんばかりの形相で景を睨んでいる

これでは麻依に近づくどころか、喰われて終わるだけだ


こっ、怖い.....

めっちゃ怖い.....


景の頭のなかでは終了のゴングが鳴り響いていた


でも

私は麻依ちゃんを助けなくちゃ


負けるな、景!!


景はすくむ足を一歩前に出す

「あの、麻依ちゃんを返してもらえないでしょうか.....。何でもします!私で良ければ何でもします!」


しかしこの言葉に狐は何の反応も見せなかった

景のよく知る無愛想な狐の方がよっぽど可愛げがある


「き、狐さん」


恐る恐る狐に近づいていく景を、狐はとうとう尻尾を大きく振って弾き飛ばした


「きゃっ!」


景は後方に2メートルほど飛ばされ尻餅をつく


「いったぁ.....」

転がっていた石で手を切ったようだ


一体私が何したっていうの.....

景はジリジリと痛む手のひらを握りしめた


そして、ゆっくり立ち上がり狐を睨み

言い放った


「上等じゃん。殴ったって蹴ったってなんだってして良いよ、その子(麻依)に手を出さないんなら!!」