色とりどりの夏の花が咲いた緑の庭は、綺麗すぎて性に合わない
昼寝するなら、邸に戻ってクーラーの効いた部屋にでも行くとするか.....
ライがそう思いながら大きな幾何学式庭園の一角を曲がろうとしたとき
どこからか聞き覚えのある声がして、彼は無意識に足を止めた
「ははは、確かにな」
「まぁ、そうだろうねぇ」
父親と、父親の弟の声だ
久々の再会にか、楽しそうに雑談する彼ら
.....阿呆らし
何が楽しくてこんなとこで野郎2人して話してんだよ
見つかったら見つかったで厄介だ
ライはそこから離れようと、ため息をつきながら踵を返す
しかし
「ライ君はどうなんだ、兄さん」
唐突に話題には自分のことになり、ライは足を止めて真剣な表情で曲がり角の方を振り向いた
「ライか、楽しくやっているようだよ」
父が言う
何を知って言ってるのかわからないが、自分は楽しくやっているらしい
「それはよかった。でも、さっきもあんまり喋ってなかったし、心配になってさ」
よく言う
ライは鼻で彼らの会話を笑うと、腕を組みながら耳だけでそれを聞くことにした
「何事もなく学校生活を送れているようだし。今のところ問題ないと言っていいだろ」
「あぁ、彼、男子寮Bっていうのに入ったんだって?まぁ男子寮Bなんて気休め程度にしかならないと思うけどねー。クラスに行けば雷属性の子だっているんでしょ?」
「そんなことまで知ってるのか。そう、九雷家の娘さんがいる」
九雷鈴菜のことか.....
話がどこまでも発展していくことに驚きながらも、ライは何か含みのある会話の内容を頭の中で反芻する
気休め程度にしかならないってどういうことだ?
何を隠してこんな会話をしてるんだ?



