徒歩というのが悔しいが、市河は景と麻依、悪狐のいるであろう方角へと進んでいた


何かしないでいるには冷静になれず、足が勝手に動いてしまう


俺がいたって足手まといかもしれないけど


彼らしからぬ

市河は心の中で卑屈になりながら歩みを進めた


『日向ーっ』

そう言って笑う
景の笑顔を思い出す

どうか無事でいてくれと思う


あぁあの馬鹿共!!

あの狐と霧は景たちのところにちゃんと辿り着いてんだろうな!?


いつもよりを力を使ったからか、あの2人が自分を置いて猛スピードで駆け抜けていったからか


彼はイライラしながら、勇ましい悪狐の姿を思い出した


つか........

あいつら、辿り着いてたとしてあの狐をボコる算段はあるのか?

狐vs狐(とヴァンパイア)か......


「あいつら馬鹿だからな」


相当イライラしているのか口が悪くなっている市河は、「あ」と声を上げると、ケータイを取り出してどこかに電話を掛けた