唖然とする市河をよそに、容赦なく雑木林の中へと消えていく結斗


「ま、マジかぁ.......。あんの狐野郎と霧野郎......」

まるで俺だけ役立たずみたいになってんだけど......


市河は「はぁぁあ」とため息をつきながらその場でしゃがみこむと、眼に手を当てて先程の透視した光景を思い出した


真剣な景の表情から、何か只事ではないことが読み取れたが

いったい何が起きてんだ?


どうせ置いて行かれた身だ

エネルギー全て使い果たす勢いで、透視してみるか


市河はヨッコラと立ち上がると、呼吸を整えて先程と同じように眼を瞑った


そして

肩の力を抜き

神経を研ぎ澄ます


彼の脳裏に映し出されたのは


こ.....これは......


そんな.....そんなはず.....

一体なぜだ!?

何があった!?


麻依を木にもたれさせ、その前に立ちはだかっているのは爽馬に劣らぬ立派な狐


悪狐であった