「ちょっと待ってよ!!」
女子のうち1人が走る彼らの背中に向かって大きい声で叫ぶ
その子は続けて
「あの女の子が悪いんじゃないの!?」
と、ヒステリックにそう言った
あの女の子とは言わずもがな景のことだ
彼女は景が麻依をどこかへ連れて行ったとでも言いたいのだろう
その言葉に結斗がピタリと足を止めゆっくりと振り返った
それに倣い、爽馬と市河もそちらを向く
彼らは今の彼女の言葉に対して何も答えようとはしなかった
そして彼女達の視線を、先ほどよりも幾分か感情の無い目で捉えていた
1人が声を震わせながら言う
「私達があの子を見たときね、あの子私達を睨んでたのよ。男子にはわからないかもしれないけど、まるで戦線布告するような視線だったの」
睨んでいた?
彼女のただの思い込みだろうか
しかし横にいる他の女子もその言葉に頷くのを見て、市河は眉を顰めた
「多分麻依のことが気に入らなくて、だからあの子が麻依を......」
「麻依ちゃんを?」
彼女の言葉に被せ気味に言った結斗の問いかけに、女の子は言葉を詰まらせる
これ以上言えば、そんな根拠などないと言われて終わるかもしれないと悟ったからだろうか
有無を言わせない彼の優しいようで冷たい表情
市河はそんな彼をチラリと横目で見てから短いため息をついた
景のことになると、結斗は保護者並みに過保護になるからなぁ
まぁ結斗と爽馬がなにをそんなに焦っているのかは知らないけれど、きっと何かあるのだろう
もちろん彼女達が知る由もないような。
市河は少し彼女を不備に思いながら、その名前を呼んだ
「言いたいことは分かった塩沢。悪いけど、とりあえず今は見つけてくるの先ってことで」
そして
「絶対あいつら連れてくるから」
市河のその言葉を合図にするように、彼らは再び駆け出した



