「おお落ち着けってお前ら......知らない女の子って、それも見てたのかよ」


市河がため息をつきながらそう言うと、彼らは大人しくなって真剣な表情をした


「だって.....びっくりしたのよ。いきなり女の子が出てくるから」

「それに麻依ごとどっかいっちゃうし。何あれ!しかも誰この方達は!?」


ははーん

早くも市河の後ろで何かに勘づきはじめた結斗と爽馬


「この方達」の一人、結斗は市河に紹介されるよりも早く

「いっちーと同じ高校に通っている伊吹結斗といいます。こっちは小高爽馬。よろしく。多分君達が言う女の子も、俺たちと同じ学校の子だね」

と王子スマイルを炸裂させた



「ゆ、結斗君と......爽馬君.....。私、古宮ルミ!」

「私、佐藤アンリといいます!」

「私は塩沢マリです!」


食いつくような勢いで自己紹介を始める元クラスメイトたち


さっそく彼女らと、その視線を奪ってしまった彼らにコホンと市河が咳払いをした

「で、小椋とあの女の子は一緒にお手洗いに行ったんだけど。お前ら小椋探してんの?」


市河のその言葉に彼女たちは愕然としたような表情をする

四人のうち唯一の男子は「あーあ」と呟きながらフリーズする彼女たちを見た


「信じられない!あの二人が仲良くなったっていうの!?」

「あり得ない!だってライバルなのに!」


あえてここは「ライバル」というのは聞かなかったことにしておこう


市河が無反応で明後日の方向を見ると、結斗と爽馬は市河の肩に腕をかけて
「いっちー?」と囁いた


「いつから景ちゃんは君のことを追い掛けている設定ができたのかな?」

「僕は誤解を生むような行動をする君が悪いと思うけど」


こ、怖えええ
景ファンクラブ怖えええ


彼らの小さな囁きに市河はゾッとしながら、話を無理矢理別の方向に逸らす


「もうそろそろ小椋たちだって戻ってるだろうし、俺らもなんかここら辺で買ったら戻るから。そんなに小椋が心配ならお前らも来い」