生徒だけど寮母やります!⁑

ひしひしと感じる何人かの視線


景は屋台8個分ほど離れたところにたむろして座っている男女四人を見て、はっと息を飲んだ

自分を見てくる目つきが良くないからか、なんとなくだけど分かってしまうが


きっとあの人たちは麻依の友達で

二人が話すのを見守っていたに違いない


私、邪魔してると思われてるよね


少し焦ると同時にとても懐かしいような寂しような気持ちがこみ上げて、景はつい真剣な表情になった


私も中学生のころはあぁやって皆んなで夏祭りに行ったなぁ


魔術とか変化とか全然関係ない友達たちと


もちろん今の6組や男子寮B、女子寮での生活は大変だけどとても充実している

けれど良い意味でも悪い意味でも今とは全然違う世界が懐かしくないといえば嘘になる


「剣道部のみんなも、会いたがってたよ」

「おー、あいつら懐いなーって、おーい景?」


市河がどこかを真剣な表情で見ている景に声をかけると、彼女はハッとしてから彼と麻依を見た


そうだった

二人の邪魔にならないようとっととココから離れなくては


「あ、えっとー、じゃあ私向こう行って食べてるね。お腹すいたし」


景がお腹に手を当ててそう言うと、市河は「わり、じゃあこれ持ってきな」とクロワッサン鯛焼きを景に渡した

出来立てだからか、まだ袋が暖かい


「えっ、いいよー。二人で食べてよ!向こうにたこ焼きとかカキ氷とかあるし」

「えっ、あ、そっか。待たせちゃってんだよなあいつら。カキ氷とか溶けんじゃね」