「日向ーー、あ」

景が市河を探しにクロワッサン鯛焼きの屋台まで行くと、そこには市河ともう1人、可愛らしい女の子が立っていた


「あ、景」

市河は特に慌てる様子もなく景の方を振り向く

対して横に立つ女の子は、少し驚いたような顔で景を見ていた


この子、日向の.....友達?

いや、それかもしかして.....



まさか彼が女の子といるとは思わず景は少々面食らいながら立ち止まったが、もしかしたら感動の再会を邪魔してしまったかもしれないと思い慌てて女の子に対してお辞儀をした

「あ、ど、どうもこんにちは。えっと日向。さっき決めた石段じゃなくて、もう少し奥の方で食べることになったの」

「あ、そうなんだ。ええと」

「あ、いや、ゆっくり話してて!場所分からなかったらメールしてくれればまた来るから!」


ひしひしと感じてしまう邪魔者感に堪え切れず立ち去ろうとする景

市河はそんな景を見て「ふっ」と吹き出した


「はははっ、どうもこんにちはって、コミュ症かよ」

「なっ......!」

「こいつは中学時代のクラスメイトの小椋。今丁度会ってさ」


クラスメイト......

案外あっさりと女の子を紹介され、景は慌てて女の子の方を向くと、彼女はぺこりとお辞儀をした


「はじめまして、小椋麻依です」


可愛い!

景は清楚で可愛らしい見た目通りの声についキュンとしながら、自分も名乗ろうとする

瞬時に市河の顔色が変わった

「あ、えっと私は日向のりょ.....」

「あ、そうそうこいつ料理研究部の仲間でさー」


料理研究部ーー!?


おい景、一般人には魔術や妖術使う高校行くなんてファンタジーなこと言ってないからな。