イチゴ味とブールハワイ

二つのカキ氷を買手に持った景がみんなの元へ戻ろうとすると、結斗がこちらへ歩いてくるのが見えた


「ん?結斗」

景が小さく首をかしげると、彼は小走りで景の元まで来て「持つよ」とカキ氷を受け取った


「あ、いいのに。ありがとう」

景が微笑んでお礼を言うと、彼はニコリと笑ってカキ氷を持つ手の甲で景の頭に触れる


「ううん。俺らが座ろうと思ってたところ、別の人たちが座ってたから場所変更したんだけど」

「あ、それで来てくれたんだね」

「そうそう」


景と結斗は揃って歩き出した


「結斗たこ焼き買った?」

「買ったよ。普通のと揚げたこ焼きと2つ」

「揚げたこ焼き?言葉聞いただけでヨダレが出てくるね」

「ある?食べたこと」

「ない!」


少し歩くと石段の上に爽馬が座っているのが見え、2人は「ただいまー」とそこへ駆け寄る


なるほど爽馬が場所を取ってくれていたのか

彼は戻ってきた2人を見て「おかえり、あといっちーだね」と頷いた


日向はクロワッサン鯛焼き係だったか

ここにいることを伝えなくては、私たちがどこにいるか分からなくなってしまうだろう


「じゃあ私日向のところ行ってくる」

カキ氷を爽馬に手渡す結斗の横で、景が歩き出すと

「あ、行くよ?」

と、当然のように結斗は振り返って言った

「あはは、いーのいーの、待ってて」

「そう?じゃあお願いするね。ありがとう景ちゃん」

素直に結斗に任せてもらった景は、笑顔で頷くと市河を迎えにその場から離れていった