「ははっ、佐藤、古宮、塩沢、ナオヤ、お前らも変わりねーよ」

「だろ?」


なんとなく彼らが木の後ろに隠れていた理由は分かる


俺と小椋を見てたのか.....

というか、見守っていたんだろうな


市河は小さく溜息をつくと、横で微笑んでいる麻依をチラリと見た


市河の視線に気づいた麻依は、少し顔を赤らめて俯く


その様子を見て、彼らはムフフと笑うと面白そうに言った


「じゃー私らはそこら辺で買い食いしてるからさっ」

「お二人さんは話でもしてろ」


こいら.....

なにか企む彼らに、市河はやれやれと溜息をつく

「あー、お前らはどっか行くと?」


麻依と市河を2人にしたい企みが見え見えな彼らは、あははと笑って誤魔化すと隠れていた木の方を指差した


「行くっていうか、あっちらへんに座って食べてるよ」

「そーそー、元剣道部や他の女子たちがお前のこと見つけたら群がるだろうからな」

「そうならないうちに、ね?」


なんというかまぁ余計なことを.......

市河がハイハイハイと頷いて苦笑いで麻依と目を合わすのを見た彼らは、安心したように、そして何か一仕事終えたかのように向こうの木の近くまで行って腰を下ろした



って、結構近くに座るんじゃねえかあいつら.....


「日向くん?」

「あ、あー」

てか景たちのところに行かなきゃなんだが、どーする俺

小椋に説明して来てもらうか.....?


そう日向が考えた時


「日向ー」


いつも聞いているその声に、麻依と同時に日向は振り向いた