「スーパーに来たのは良いんだけどさ、にょりにょりするならカットされたところてんじゃダメだと思うんだよね」


商品を手に取ってから笑顔でそう言ったのは、先ほど生徒会の仕事を終えて出かけ間際の彼らに合流した結斗だった


彼はあれから本当に生徒会に入り男子寮Bのメンバーを驚かせたが、景はこれが当然の成り行きだったのではないかと思う

夏休みに生徒会室と寮を往復する彼は、心なしか楽しそうに見えた


ちなみに、咲夜とライは先日から帰省していて寮にはいない


「多分それみんな思ってたよね」

「言わなかったけど」

「言えなかったよな」



結斗のもつところてんを凝視しながら口々にそう言うと、彼らは「はぁ」とため息をついた


「カットされたところてんでよくない?」

「よくないよ何かもうグチャグチャになるだろ」


投げやりな景の言葉に真顔で市河がつっこみを入れると

結斗が何かを思い出したように「あ」と口を開いた


「小高家に行くって言うのは?爽馬、よく里の屋敷で食べてたって、前回ところてん食べたとき言ってたよね?」

「えっ、原型のところてんが常備してあったりするの?」


結斗に続いて爽馬を見る景に、彼はぶんぶんと首を振った


「里に行くのはちょっと腰が重い」

「そっか......」


ならば仕方ない、と話は振り出しに戻る