二日後

月曜日の朝


市河は一年一組の教室の自分の机にほおをつきながら座って居た


毎日をランニングからスタートさせる彼だったが、なぜか今日は気が進まずそのまま登校し、暇を持て余し中だ



金曜日

男子寮Bでの食事風景を思い出す


彼が一番驚いたのは、景の存在だった


すごい人がいるものだ、と思った

ただの女子高生なのに、あそこまで完璧に寮母をこなす生徒がいるなんて


全校生徒は知らないし、実際周りに彼女を羨む女子生徒は山ほどいるけれど

そんな奴らに教えてやりたくなる



そんな甘いものじゃない



一見、優しそうで可愛らしい彼女は実は

寮母よりも寮母だと


「おっはよ、いっちー」


いきなり後ろから聞き慣れた声がして、市河はパッと振り向いた

「はよ、布......川......」


しかしそこにいたのは咲夜だけではなく


いつも通り無表情で無口な爽馬と、そして今考えていた張本人


景だった


「おはよう。金曜日は楽しかったよ!ありがとね来てくれて」

「寮母さん......?」


おどろく市河に、咲夜は「だけじゃねーぞ」と景の後ろにいる人たちを手で招く


「おはよう、市河君」

「はよ」

「あ......伊吹くん......火野くん......てか、男子寮B?」


市河の前に全員集合で現れた男子寮Bに、教室にいた少数の生徒もこちらをチラリと気にしていた


「実は、お話があってきたの」

「話っすか......?」


景からそう言われて首を傾げる市河に、彼女は深々と頭を下げて口を開いた





「是非、男子寮Bに入寮して下さい」