でも、みんなママのことが大好きだったっけ
私もそんなふうに
悪いことは優しさをもって叱れるママのような寮母になりたい
景は手をぎゅっと握ると、ヤナオカを見つめて口を開いた
「私は、寮母としてここにいて、寮母として注意しているんです。市河君だって周りの生徒だって嫌な思いをします。寮はみんなで使うもの、人に迷惑をかけるようなことはしないで下さい」
市河はそんな景の言葉を、驚いたような顔で聞いていた
するといきなりヤナオカから突き放され、市河はワッとよろけてその場で踏みとどまる
「あのこヤナオカさんにあそこまで言うなんて強え」
「いや、分かってないんだよヤナの怖さが」
「ヤナ先輩まじ怒ってますね。でもあの子……ちょっと見直したわ」
そんな周囲の声の中、ヤナオカが景に詰め寄った
「お前だって、俺ら魔術科役員が一方的に悪いと思ってんだろ」
景は何も答えず、ヤナオカを真剣な表情で見つめ返しているだけだった
そんなこと、答える価値もないっつーことか?
市河は心の中で独りごちた
なんつーか
この寮母さん、そーとー強いわ
ちょっと見くびってたかもな……
市河は景を見ながら感心したが、ふと景の足を見ると、その細くて白い足が僅かに震えていることに気が付いた
………!!
何強いとか感心してんだ俺は
こんな小さな女の子が、年上に対抗して平気な分けないだろ
俺だって怖かったってのに



